『ベルリンは晴れているか』 著 深緑野分 筑摩書房
深緑野分さんの『ベルリンは晴れているか』を読了。
深緑さんの作品は『オーブランの少女』『戦場のコックたち』共に読んでいるけど、
これまでに増して登場人物も、主人公たちが住む世界も深みをもっている気がした。
動乱の最中、無実を証明するために旅をする主人公。仲間もいてスリリングで、壮大な謎解きアドベンチャーともとれるし、一方で暗い歴史の中のどこまでも孤独な物語ともとれる。
タイトルのせいかもしれないけど、物語を通して主人公たちと同じ空の下にいるような感じがするのが好きだったなぁ。
『沈黙のWEBライティング WEBマーケッター ボーンの激闘』 著 松尾茂起 作画 上野高史
松尾茂起さんの『沈黙のWEBライティング WEBマーケッター ボーンの激闘』を読了。
ブログを書くにあたって何か参考になるものはないかなと思って手に取った一冊。
中身で紹介されている理論が本の構成そのものに使われている。内容ももちろん面白いけど、紹介されている理論がどういう風に使われているのかを探すのも面白い。
ブログで稼ごうとは思ってなかったけど、マーケティングは実践してみたいなぁと思うようになってきた。
本書をこれまで読んだ本と関連づけると、下記のような感じだと思う。
新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング (できるビジネス)
- 作者: 唐木元
- 出版社/メーカー: インプレス
- 発売日: 2015/08/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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沈黙のWebライティング ?Webマーケッター ボーンの激闘?〈SEOのためのライティング教本〉
- 作者: 松尾茂起,上野高史
- 出版社/メーカー: エムディエヌコーポレーション
- 発売日: 2016/11/01
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る
兎にも角にも、おもしろかったです。
『もっと言ってはいけない』 著 橘玲 新潮新書
前作の『言ってはいけない 残酷すぎる真実』がおもしろかったので購入した一冊。
前作は遺伝がメインだった。今作はそれを踏まえて人種や国ごとの知能、遺伝状況について述べられていた。
どうして人種ごとに知能の違いがあるのか。人類の祖先にまで遡り、現在に至るまでの社会構造の変遷から答えを探していく。
興味深かったのは、「日本人の3分の1は日本語読めない」という部分。
というのも、日々仕事をしていて「この人、日本語通じないのかな?」と感じる人が多いから。
チンプンカンプンな返信だったり、送った内容と同じことを尋ねてくる返信だったり…。
文章を読めても、意味を理解できない人って案外いるものなのか…。と本書を読んで納得できてしまった。
他にも人類の祖先は水生生活をしていた説や、稲作が知能を高めた説、人種とうつ病の関係など興味深いデータがたくさん紹介されていた。
前作、今作を通して思ったのは、
ものごとは「因果関係」だけはないってこと。直感で分かりやすい「因果関係」に焦点を当てがちだけど、
様々な要因が絡む問題に関しては「相関関係」の方がスッキリと説明できる場合がある。
短絡的にならず、広くものごとを見れるようになりたいと思った。
おもしろかったです。
『一番売れてる月間マネー誌ZAIが作った「FX」入門』 ダイヤモンド社
『一番売れてる月間マネー誌ZAIが作った「FX」入門』を読了。
FXを始めてみようと思って手にとった一冊。
とりあえず練習と思ってバーチャル取引をやってみたのだけど、これが全然うまくいかない。
低い時に買って高い時に売れば良いと思っていたけど、今が低いのか高いのか、これから下がるのか上がるのかがイマイチ分からない。チャートを眺めていればなんとなく分かる気がするけど、あくまで気がするだけ。
本書ではFXの始め方、チャートの見方、分析ツールの紹介、価格変動のポイントなどをゼロから解説してくれている。スポーツで言うとルールの説明と心構えを教えてくれる感じ。
また様々な取引スタイルも紹介されているので、自分の資金や生活スタイルにあったやり方を探すこともできる。
FXにしても株にしても単にお金の駆け引きだと思っていたけど、「これは一種の学問だな」と感じた。
随所で言及されているけど、大切なのは「とにかく冷静であること」。
勉強を怠らず、油断せず、本書を片手にお金を増やせるよう頑張ってみたいと思った。
『言ってはいけない~残酷すぎる真実~』 著 橘玲 新潮新書
科学的にデータで説明できるからと言って、本書にある内容を大勢の人の前で話すのは確かに危険。人によっては傷ついたり不快になったりするかもしれない。個人的には「そういう見方もあるのか」と感じることが多くおもしろかった。
知能と遺伝について、精神的なものの遺伝について、遺伝による特性が自身の環境を作っていくことや、人間の性のあり方などどれも興味深い意見だった。因果関係としては説明できないけれど、相関関係とすれば確かにそういう考えもできるのか!と納得させられる。
もう一度じっくり読み返したと思った。
シリーズ続編として『さらに言ってはいけない』が発売されているようなので、続けて読んでみようと思う。
おもしろかったです。
『女王陛下のお気に入り』 監督 ヨルゴス・ランティモス 2019年
映画『女王陛下のお気に入り』のお気に入りを観た。
なんでこの物語がおもしろいのかなと考えたとき、人が堕ちていく姿は愚かで醜くも、どこか愛おしいからだと思った。愛おしく感じるのは、自分の中にも堕ちていく自分を止められない状態になってしまいたいという衝動があるからだと思う。
「ダメだよ」と思いつつも「うふふ、なんてダメな私」と主人公に共感して、一緒に堕ちていくのが何とも快感。
ヒーローものではひとつの愛が世界を救うけど、この物語ではひとつの愛が世界を狂わせる(嘘)。
とにかくおもしろかったです。
『ある男』 著 平野啓一郎 文藝春秋
平野啓一郎さんの『ある男』を読了。
この物語を”家族とアイデンティティ”というテーマで見ると、とても一貫しているものを感じる。
戸籍を交換している人たちは皆、家族にコンプレックスがある。つまり自分という存在を認めてくれる、証明してくれる他人が近くにいなかった。
そういう人たちに触れることで、主人公の中にも”今の自分”を捨てて別の誰かになってしまいたいという欲望が見え隠れする。でも主人公には家族がいる。
特に息子は主人公にとって大きな意味を持っているように見えた。冒頭で主人公が息子との時間を過ごして、説明のできない幸福を感じるシーンがある。これは息子が自分のアイデンティティだと感じたからではないだろうかと思う。自分と同じ遺伝子を持つ者、それは他の何にも代えられない確かな存在の証明。
とてもおもしろかったです。