アイスの本棚

読んだ本、観た映画の感想を書きます。

『1R1分34秒』著 町屋良平 新潮社

 
町屋良平さんの『1R1分34秒』を読了。
 
前々からちょっと考えていたけど、芥川賞に選ばれる作品には2つの要素があると思う
1つは人間に関する普遍的なテーマであること。もう1つは、物語としては完結しないこと。
 
本作のテーマは心の弱さ。主人公はそれを自覚しつつ、自分ではどうすることもできずに日々を過ごしている。
そして物語は、主人公が一歩踏み出せそうな予感がするところで終わっている。
 
普遍的かつ完結しないというのは
"この物語は読者あなたの物語ですよ"というメッセージなのかなと勝手に解釈している。
"本としてはここまでだけど、この先はあなたの物語です。さぁどうしますか?"と問われている気持ちになる。
 
『ニムロッド』ではお金に対する価値観の変化と、変化よる不安がテーマかなと思っている。また、友人と恋人は東方洋上に去るという決断をしたのかもしれないけど、主人公の日常は変わらずに続いていく。
 
長くなったけど、私は芥川賞的な物語は好きだし、今後もチェックしていきたい。
 
おもしろかったです。